こんにちは、治療院経営ラボ主宰の松村です。
新型コロナ感染症(COVID-19)、凄い騒ぎです。
色々と思うところもあるにはありますが、論理は感情に勝てないので今は自粛しています。
ラボ会員の先生には色々とお伝えしていますが、時が来たらその答え合わせができますので、タイミングを見て色々公表したいと思っています。
さて、本題です。
医療従事者の国家資格を持ち、なおかつ治療院をやっている経営者なら、こういうときにでも「経営的に生き残れる」ようにしておく必要があります。
そのためには、医療従事者としても、経営者としても感情に支配されず、今ある状況を客観視して色々考え行動していくべきかなと思います。
まずは何が不安、何が問題かを明確にしよう
まとめてしまうなら、不安や問題はたったの2つになるはずです。
①感染症そのものへの恐怖
②お金の不安
要するに、「感染したらどうしよう」「死にたくない」「怖い」というものと、「売上低下に伴い経営悪化してしまう」という不安です。
それらを解決していくことで、今回の騒動を乗り越えることができるのではないでしょうか。
大切なのは数字を把握すること
経営者なら、数字をしっかり見ていきましょう。
医療従事者としても、例えば卒論レベルでも「〇〇〇人に〇〇をした結果、〇〇という結果が出た。ゆえに〇〇療法は〇〇に効果的だ」という書き方だったはずなので、冷静に数値を見ていくべきでしょう。
大数の法則と少数の法則というものがあります。
一番良い例はコインを投げて裏表が出る確率や、サイコロで1や6が出る確率の例ですね。
例えばコインを10回だけ投げた場合、もしかすると10回中9回表が出るかもしれません。
しかし、100万回、200万回投げていくと、表が出る確率は2分の1になっていきます。
厳密に言うと色々あるので、数学詳しい人からは突っ込まれるところもありますが、大雑把に言うならこれが大数の法則。
(特に期待値だなんだまで入れると大半わからなくなるので、理数系の人はあまりこだわらないでください、数学の勉強ではないので)
次に、
10円玉を10回投げたら、表が8回出た。
100円玉を100回投げたら、表が63回出た。
500円玉を1万回投げたら表が51回出た。
こういう結果出たとき、まさかみんな「10円玉は表が出やすいんだ」とは思いませんよね。
要するに、回数少ないから偏った数字出るんだと思います。
少数の法則ってこんな感じです。
ほとんどの人が「10円玉と500円玉だと「10円玉のほうが表が出やすい」なんて言うと「お前はアホか」になると思います。
でもこれが、
エリアAの人口は100人。新型感染症になった人は10人。
エリアBの人口は500人。新型感染症になった人は100人。
エリアCの人口は1000人。新型感染症になった人は10人。
エリアDの人口は400人。新型感染症になった人は5人。
という数字だと「エリアAはひどい、エリアCには何かある!」と思ってしまいます。
単に、分母が少ないだけなんです。(もちろん、特殊な条件がない場合です)
経営的にもそうです。
「うちは、水曜日がヒマなんですよ」
「それ、データ取りました?」
「いえ、取ってません」
調べた結果、水曜日も他の曜日と平均の人数は変わらないってことがほとんどです。
「うちはちょっと変わった治療院で、難病が多いんです」
と言って調べてもらったら圧倒的に肩こりが多かったとか。
まあ珍しいものは記憶に残るから、どうしても「感情的」に多いと思いたいんですね。
このようにどうしても感情論に振り回されてしまいますが、数字はウソをつきません。
数字を知ることで感情もコントロールしやすくなります。
数字を把握し、ヒステリー状態にならないで冷静に対応しましょう。
新型コロナウィルス感染症を、わかっている範囲で数値化する
なぜこんなことまで数値化すんねん、と思われるかもしれません。
例えば、日本での感染者数が6000人を超えたと報道がありました。
「6000人!むっちゃ多いやん!」
ってなりますよね、どうしても。
6000人という数字だけを見ると確かに多いです。
では日本の人口は?1億2000万人ほどいますよね。
正確には、
「12,000,000人中感染者が6,141人(4月10日の数字)で、80人が死亡した」
が正確な情報なのです。
世界でのコロナでの死者が11万人を超えたと報道がありました。
11万人って凄い数字ですよね。
今、世界での感染者数は約180万人。
では、世界の人口は?
77億人ほどいます。
正確には
「7,700,000,000人中感染者が1,800,000人(4月9日の数字)で、110,000人が死亡した」
が正確な情報なのです。
日本国内だけなら、感染率は0.05%。
感染してしまった場合の死亡率は1.3%。
世界で見ると、感染率は0.023%。
感染してしまった場合の死亡率は6.11%。
現状、コロナはこういう数字です。
もちろん、感染者の定義が曖昧ではあります。
しかし、無症状や軽症の人が陽性だとわかると、感染率は上昇しますが死亡率は低下します。
感情を優先する人たちは、この時点で
「お前、こんな数字出してコロナなめてんのか!」
って怒る人が多いです。
よく「インフルと同じとか言いやがって!」という意見も聞きますが、それはインフルエンザをなめてます。
インフルエンザも罹患すればかなりしんどいですし、毎年死者も出ています。
それこそ、インフルエンザの感染予防はしないでいい、なんておかしな話なのです。
それになめてるとか、なめてないとかそういう感情的で非論理的な、低レベルなことを言っているのではないのです。
必要以上に恐れるべきではないし、アホみたいに楽観視するわけでもない。
冷静になろうねってことなのです。
治療院経営も自身の感染予防も、この数字を基準にして、何をするのか、何をしないのかを考えたほうが効率的ではないでしょうか?
※感情が先走る人が読むとどうしても誤解を受けやすいのでしつこいくらいに書いておきますが、新型コロナを軽視はしていません。基本再生産数という数字では決して軽視してはいけない数字です。だからこそ感染予防への取り組みは全力でやるというスタンスですのでそこはご理解くださいませ。
治療院の数字を把握する
経営における不安は、要するにお金です。
手元にいくらあれば、無収入でも生き残れるかを算出してしまえばいいのです。
スタッフを抱えている場合は、それこそ何曜日の売上がどうとか、1日の時間帯での生産性もきっちり出しておきましょう。
そして時期について。
今回の新型コロナウィルス感染症ですが、まさか来月に完全に終息するとは思えませんよね。
かと言って、数年単位ということも考えられません。
経営者としては「最悪」に近い状況を考えておいたほうがいいので、1年間、最低限お金がいくら必要かがわかれば、その金額分の貯金があればいいですし、ない場合はその分を借入すればいいということになるのです。
新型コロナ感染症への対応
院での対応を患者さまにアピールする
元々、換気設備の基準や滅菌消毒の基準をクリアしているから開業できているわけですが、僕たちにとっての「当たり前」が一般の方々の「当たり前」とは違います。
不潔の定義も全然違いますよね。
なので、僕たちが普段当たり前にやっていることをアピールしないと「あそこの院は何も対策してないんじゃ」と思われてしまうこともあります。
怖いのは、数軒でも治療院から感染者が出たと報道されてしまうことで「少数の法則」で人が感情論で「治療院は危険だ」という誤った認識をさせてしまうことです。
数字云々だけで言うなら、日本の交通事故の発生数は38万件です。
交通事故による負傷者数は46万人です。
にも関わらず、歩道を歩くのは危険だとはなりません。
しかしながら、スポーツジムの二の舞になってはいけない、治療院業界そのものが集団ヒステリーの次のターゲットになってはいけない、そして自院の風評被害もでないようにしないといけないなどの理由から、しっかりとアピールするべきなのです。
自身が感染しないようにする
当たり前ですが、感染しない努力を怠ってはいけません。
感染しないようにするということは、自身が「すでに感染した無症状者」であっても感染させることがなくなります。
さて、ここで考えるのがどこまで自粛し、どこまで活動するか、です。
先述した数字を考え、なおかつRNAウィルスの特性、そして感染経路を考えると何を自粛して何を今まで通りにするのかは明白です。
飲みに行くとか、まあ治療家の先生の中にはキャバクラ好きも多いようですが、そういうところに行くのは論外。
若い子がよく行くようなチェーンの居酒屋も論外ですね。
例えば電車。
今はそれぞれが気をつけていますし、立ってりゃいいんです。
マスクつけて、手袋つけて立って移動すりゃいいんです。
新幹線ならグリーンに乗る。
今は自由席でもガラガラだそうですが、それでもグリーン。
隣りに人が来る可能性がほとんどゼロです。
僕は飛行機(JAL派)ですが、最低でもJシート。
ステイタス会員なのでラウンジを使えますが、今はなるべくファーストクラスを取ってファーストクラスラウンジを使えるようにしています。
衛生に限らず、様々なリテラシーが高い人たちが多く、低い人達が少ない環境にいることで予防しやすくなります。
残念ながらこれは現実です。
感染しないよう努力をする理由は、単に病気になりたくないとか死にたくないということもありますが、経営的な影響もあります。
今感染してしまうと待っているのは、差別。
悲しいかな、それは無くならないんですよね。
今、感染しちゃって「〇〇市の〇〇治療院の先生コロナになったってよ」なんてことが広まれば、いったいどんな尾ひれがついて話が拡がっていくか想像もできません。
「あそこの先生、実は緊急事態宣言のときにソープランドに行って感染させられたらしいわよ」
「ま〜不潔!」
なんてことにもなりかねません。
残念ながら、人はそんなもんです。
残念ながら、日本はまだそういう国です。
それが田舎になればなるほど、魔女狩りのように感染者を特定する動きが活発になります。
下手したら移転です。
できれば禁煙する
喫煙者は症状がきつい可能性があること、そして肺にウィルスが入った場合に、タバコを吸うことでウィルスを活性化させるだのなんだのという情報もあります。
実は僕はバリバリの喫煙者でして、嫌煙者の圧力には絶対に屈しないという強い信念のもとタバコを吸い続けてきました。
1日40〜50本という、いわばヘビーというジャンルに入る喫煙者でした。
現在、「いつかコロナに感染して免疫ができたら(ワクチン含む)肺いっぱいにタバコの煙を吸い込んでやる」というモチベーションのもと禁煙を続けています。
多分、いつかは感染すると思います。
とはいえ、今はそのタイミングではないです。
できるだけ早く禁煙して、なるべく正常に近い肺に近づく努力をしておいたほうがいいでしょう。
予約のコントロール
予約制でない治療院はこれを機に予約制にしましょう。
あとは患者さまが重ならないように、いつもより少し予約枠の時間を長めに設定すればいいかと思います。
このように、普段通りの消毒滅菌をし、施術者、患者さまともに手指消毒をし、お互いにマスクをし、そして予約のコントロールをし、自身がプレイベートで「冷静に」感染予防をしておくことで、リスク回避できるだけでなく、最悪、感染者の方が患者さまとして来院された場合でも濃厚接触者とならず、そして院もしっかり消毒していると認められると業務を停められるリスクも減少しますし、最悪罹患してしまっても、軽症で済む確率が高くなります。
お金を工面する
さて、必要なお金は算出した。
感染対策はしっかりやっている。
となると、次は実際に資金を用意する動きに入ります。
新型コロナウィルス感染症に関しては、すでに融資制度が動いております。
こちらをダウンロードしてお読みください。
↓ ↓
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
なお、上記データに関しては30歳より上のおっさん、おばさんはプリントアウトしてアナログで読みましょう。
実は、若い子はモニターの文字を文字情報として認識できるそうなのですが、我々おっさん、おばさんはモニターの文字は「画像」と認識するようで、頭に入りにくいそうです。
大事な情報なので、プリントアウトしてわかるまで何度も読み返してください。
日本政策金融公庫はこちら
↓ ↓
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html
※こちらはPDFデータではありません。
そして、まだ確定していませんが、前年同月比−50%の場合は持続化給付金が受けられる可能性があります。
給付額=(前年の総売上(事業収入))-(前年同月比-50%月の売上×12か月)
給付上限額は、法人:200万円、個人事業者等:100万円
となるかも、です。
経産省ホームページ
↓ ↓
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200408002/20200408002.html
政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、なかなかのザル具合で結構な額の融資をしてくれる可能性もあるとか。
もちろん条件はありますが、そこはご自身の治療院の管轄となる政策金融公庫に電話してみるといいでしょう。
まだお金は使うな!
さて実際にお金を借りました。
手元にお金あります。
わーい、ではないです。
上手く1年間無収入でも潰れない金額の融資を受けられたとします。
でも実際は院を開けるわけですので(たとえ時短したり診療日を減らしたとしても)、本当に無収入ということはないはずです。
今回の騒ぎがある程度収まり、売上が正常化するまでは公私ともに(会社、院とプライベート)のコストをなるべく削減し、借りたお金に手を付けなくてもいいようにしておくべきなのです。
徹底的にやるなら、普段使う口座とは別口座にお金を入れておいてもいいかと思います。
なるべく手を付けない、でも、本当に危ないときにすぐ対応できるためのお金です。
正常化してしまえば、そのお金を返済してもいいですし、それを資金にして生産性が上がるようなものに投資するのもありでしょう。
ただ、今は借りたお金は使わないということがとても大切になってくるのです。
まとめ
さて、感情を制御し出た数字を元に行動していく、というのは非常に難しいかもしれません。
しかしながら、経営者である以上はここから逃れられないときもあるということなのです。
なお、我々は医療業界では末端の資格かもしれません。
しかしながら一般の方々はそうは見ていません。
僕達がパニックになって買いだめしたり、家に閉じこもったり、政権批判したりしてたらダメなんです。
おわかりですよね、マスクの意味。
わかってないのなら医療人失格です。
数字を見て、冷静に医療人としてやるべきこと、そして経営者としてやるべきことを粛々と進めていきましょう。
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