治療院経営ラボ代表の松村です。

治療院経営を教えるコミュニティの代表である僕が、「最優先で学ぶべきは治療関係」と言うのにはそれなりの理由があります。

実は経営には闇の部分があり、それを抱え込めるかどうかが、経営重視で進んでいくかどうかを決めるための重要なファクターとなるからです。

僕はその闇を抱えるくらいなら、業界でブイブイ言わせてる系の経営者になんてならなくてもいいと思いました。
(開業当初はその闇に気づかず、目指していた頃もありましたが)

ただ、そういう闇の部分だけでなく、たくさんの人を雇用し、組織を構築し、仕組みを作り・・・・というのは、それができる資質が必要になります。

これは、優れている、劣っているとかではなく、向き不向きの問題。
ちなみに僕にはその資質が一切ありません。

というか、そういう資質を持っている人のほうが少ないです。

じゃ、そういう資質を持っていない治療家はどうすればいいのか?
一生、死ぬまで働き続けなきゃならないのか?
家族との時間を犠牲にして患者さんに尽くし続けて死んでいかなきゃならないのか?

というと、そんなことはありません。

もちろん、生涯治療家というのは悪いことではありません。
しかし、僕は思うのです。

治療がしたくて80歳になっても90歳になっても治療をし続けるのと、本当はもうしんどいのに生活のために高齢者になってまで治療をしなければいけないのとでは全然違う、と。

選択しているか、選択する余地がないか。
これは人生において大きな差になると思います。

現在、僕は会社を2つ持ち、今すぐ僕の治療院が消えてなくなっても生活できるようになっています。

雇用しているスタッフは治療院の受付スタッフ2名のみ。
僕が苦手な業務を完璧にこなしていただけるので、雇用に一切のストレスがありません。

治療家なんて雇用してたら、イライラしっぱなしで血圧が200超えてるでしょう。(過去、超えてました)

今回は、治療家をしながらでもちゃんと事業をしていける、事業展開をしていける、そして〝選択できる未来を創る〟ことができるということを、つらつらと書かせていただきます。

 

そもそも、経営とは何か?

経営、経営と言いますが、その意味は一体なにでしょうか?
辞書では

事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。

と書かれています。
これだけだと、何かよくわかりませんね。
僕の解釈では、目的(ミッション)を達成するために目標(売上)を作り、計画、実行していくことかな、と。

ただ、例えばドラッカーはマネジメント的なことを言っています。
社長と社員が同じ方向を向いて〜、というアレです。

それらをひっくるめて考えてみると、経営とは誰かの幸せのために色々仕組み作ったり管理したりして利益を出していくってことになるのかなと思います。
これだけだと、なんだかとても素晴らしいことのように思えますね。

しかし、例えば社員を抱え会社が売上をあげていかないと社員と社員の家族を養えないという状況であったり、他のさまざまな理由から利益を追求することを最優先した経営をしだしたとき、経営の闇が出てきます。

次の章では、それらについて書いていきましょう。

 

 

治療院経営の闇とは?

本来であれば、1人治療院であっても独立して自分で院を切り盛りしている以上は〝経営者〟なのですが、今回はそうでない場合のお話を。

経営、と言うと「雇用を生んで社会貢献」だとアピールする人もいますが、要するに組織を広げていくというところは絶対になります。

要は広げ方。
分院展開をベースに、柔道整復師なら保険が厳しいので整体院を展開していくということが増えているのではないでしょうか?

治療院を展開していくとなると、技術レベルの偏りをなくさなくてはいけなくなります。
ある程度効果が出て、それほど被害が出ないで、入社して数ヶ月で覚えられるレベルの技術を教える必要が出てくるわけです。

要するに、それほど切れない包丁を持たせても大丈夫なレベルの料理しかさせないという選択をせざるを得なくなるのです。

しかし、マーケティング的にもスタッフもモチベーション的にも、まさか「お前ら大して美味い料理作ってるわけちゃうで」とは言えませんので、うちの院のオリジナルメソッドだ、最高だなどと嘘をついて、そして若い治療家たちはそれを鵜呑みにして、狭い狭い水槽の中だけで得意気になって喜んで泳ぐということになるわけです。

飲食業であれば、それなりに美味しいものはレシピがあり、レシピの言う通りに作るならばあとは材料です。
なので、飲食での闇は食材の偽装が多くなるのです。

飲食店なら新しいレシピや既存メニューをさらに美味しくするためのレシピの改良、治療家なら技術研鑽を続ける、飽くなき探求こそに仕事の本当の楽しさがあるのですが、グループ院になるとその楽しさは望めません。

だからこそ出世させ、若い割に良い給料を渡し、福利厚生を手厚くして、いつまでも治療家の本当の楽しさから目を背けさせ続けないといけないのです。

そう、この仕事の本来の楽しさを、若く未来ある治療家から奪うことこそ治療院経営の闇と言えます。
そして、我々は患者さんの健康に関わる仕事である以上、低いレベルの技術を提供し、本来治せるはずのものを治せないものだと思わすようなことをしたり、それほどひどくない症状をひどい症状だと思わせたりすることは罪悪でしかないのです。

 

 

グループ院は幼稚園

治療家に限らず、ですが技術系の仕事は本来厳しいものです。
頑張ったとて、結果が伴わなければ評価されません。

ましてや、開業すると辛いことは多いです。

「俺(私)は開業する気ないから〜」と思われる読者もいるかもしれないが、実は他人事ではないし、その理由は後述するのでぜひとも読み進めてほしい。
自身が独立したときに挫けないように、本来は厳しい環境で技術だけでなく治療家としての心構えなども叩き込んでもらうほうが絶対に、良い。

それに、我々は技術でお金をいただく(あえて技術に限定します。もちろん人柄もありますが)仕事なのだから、本来はそれで給料をいただくことそのものを、モチベーションにしなきゃいけない。

だが今はいったいどうでしょう。

自由に有給取れる?
年2回のBBQ?
大忘年会はビンゴ大会で賞品豪華?
社員旅行は海外?

ふざけてるのでしょうか?
はっきり言って、そんなチヤホヤされないと仕事のモチベーションを保てないのなら、治療家はやらないほうがいいです。

本当は、給料をもらえるだけでありがたいんです。
プロならば、自分のモチベーションは自分で管理しろよ、と。
もちろん、気分が乗らないときもあります。
若いときは彼氏、彼女にフラれて落ち込むときもあります。

でも、そういうときもグッとこらえて同じパフォーマンスだすのがプロです。

そして僕ら治療家は個人競技と同じ。
自分を高めていくしかないのです。

BBQや社員旅行は社員同士仲良くなって、和気藹々とした雰囲気を作り、離職しにくい雰囲気を作るにはいいですが、良い治療家が育つ環境ではないのです。

 

 

開業する気のない、若い雇われ治療家たちの大きな勘違い

先述したように「俺(私)は開業しないから〜」という治療家は少なくありません。
特に柔整学校の学生は、今はどちらかというと就職率の高さから柔整学校に進学しているようで、開業希望のほうが少ないということです。

医療的にいうならば、治療家がそれなりの企業に定年まで勤務し退職金をいただくという状況と同じような状況になるというエビデンスはありません。
僕がこの業界に入ったのが26年ほど前。少なくともその時点から数年間は安い給料で朝から晩までが当たり前、福利厚生などは一切なしだったわけで、業界の中でそんなことが言われ出して、まだたかだか十数年しか経過していないわけです。

何社かはそれなりの給料を渡し、福利厚生を充実させていますが、果たしてそれがいつまで続くでしょうか?

若い割にそこそこ給料をいただこうと思うと、分院長をすることになります。
みんな分院長を目指します。

事業として伸びてるうちはたくさん出店していきます。
さて、狭い日本の中で永遠に出店し続けることはできるでしょうか?

あり得ませんよね?
吉野家もデニーズもロイヤルホストもマクドナルドも、ピークからは店舗数落としてますよよね?

あなたが勤務しているグループも、必ずそうなるのです。
あなたの会社の就業規則を見てください。
定年は何歳ですか?
あなたがもし25歳なら、あなたが勤務しているグループ院があと35年、今と同じペースで出店し続けられると本気で思いますか?

あなたは自分だけでなく他のグループ院で、でも50代後半の分院長を何人見たことがありますか?

分院をずっと出し続けることは不可能です。
しかし分院長になれないとなると、スタッフのモチベーションは保てません。
分院は増えないけれど、分院長になるという目標を持たせ続けるために多くのグループ院が何をするか?

超カンタンです。
年齢が上の分院長に上手いこと言って退職してもらえばいいのです。

 

「お前なら開業しても成功する」
「うちを卒業しても仲間やないか、開業してからもサポートしたる(決してお金の援助とは言ってない)」

そんなことを言って、開業する気にさせるのです。

これは実際のグループの手口です。
そうやって人件費を抑えています。

そうやってノセられ、意気揚々と開業し、技術不足を含めたさまざまな能力不足で開業してから大変な思いをしている治療家を、僕はたくさん知っています。

全く違う仕事で会社員になるか、独立するか・・・・
あなたが今望んでいる〝安定〟は、幻想なのです。

 

 

組織拡大系の経営手法をとった治療家が捨てなきゃいけないこととは

組織拡大、という経営方法は自身が働かずとも売上が出る手っ取り早い手段です。
しかしながら〝ノーペインノーゲイン〟で、あれもこれも欲しい、は成立しません。

組織を拡大する経営方法を選択した時点で、治療家は2つ捨てなければいけないものが出てきます。

まず、自分の院で本物の治療を提供することは捨てなきゃなりません。
僕も開業当初は分院展開を考えていたのですが、踏みとどまった理由がこれです。

というのも、僕が柔道をやっていた関係でそこそこのレベルの柔道選手が何人も受診していました。
スタッフレベルじゃ、診れない症状が多いんですよね。

「育てりゃいいやん」と思われるかもしれませんが、開業当初の僕でキャリア10年。
選手に10年待たせるわけにはいきません。

次に捨てなきゃならないのは、自分の技術。
患者さんを治療し続けていない限り、腕は落ちていきます。

「十分に資産を築いてから治療家として復帰する」と思ったところで、できません。
それまでの期間、手技の勉強をしてなけりゃ特に、です。

例えば僕は、まだまだ名人の領域ではないにしろ、開業してからもずっと治療をし続けてきました。
修業10年。現段階(2021年8月時点)で開業して16年。
マッサージしかできない頃からカウントすると、もう26年も患者さんを触り続けています。

人生の半分以上を治療家としてすごしています。
全然治療をしなくなった人には、正直全く負ける気がしない。

僕自身、今も治療セミナーは参加し続けて学びを深めてますから。

要するに、組織拡大系の経営者になるということは、結局のところ治療家の本懐そのものを捨てるということなのです。

 

 

治療や問診を学び〝続ける〟ことが経営につながる

治療技術がそれほどのレベルでなくても、稼いでいる治療家は存在します。
しかし、本当に治療技術が高く問診を含めた患者さんとのコミュニケーションが取れる治療家で、稼げていない先生はいません。

例え反応率の高いチラシやサイトを作って新規をたくさん集めても、腕が悪けりゃ悪評を広げるだけになります。
そうならないよう、口八丁手八丁で誤魔化しても長続きしません。

要するに、

そして、学問と違い治療や問診というのは一度学んでもいつのまにか基本から逸脱してしまい、良い結果が出なくなってしまうものです。

スポーツも、基礎の練習を毎回やりますよね?
プロ野球選手はプロになったからといって素振りをしなくなるなんてことはありませんしキャッチボールもしますよね。

我々治療家も同じで、良い治療法を見つけたらその治療法を定期的に学び続け、研鑽していく必要があります。
一度習ったらそれでマスター、ではなく、1度目はスタートにすぎないのです。

治療や問診を学んでいくと、どうすればもっと治療効果が上がるのかというところで治療技術以外の環境設定を考えなければいけなくなってきます。

それが治療院経営の基本と合致してくるのです。

 

 

技術系経営者という道

最高を目指さず落とせる範囲まで品質を落として、商品(技術)とそれを提供するまでのオペレーションすべてをシステマティックにして店舗展開やFC化をすることこそが正義だと信じてる経営者は多いです。

しかし技術者はそれが許せません。
最高を目指す探究心こそがモチベーションなわけで、それを否定するのはどうなんだということになります。

これが治療家の場合は、自分の探究心を満たすためにも開業しなきゃいけないので(分院勤務とかだと決められたことしかできない)、どうしても治療を人に任せることはできなくなります。

お前は人に任せることができない、なんてえらそうに言われたことはないですか?
僕は散々あります。笑

でも、それって悪いことですかね?

160km投げてストライク量産できるピッチャーが、120kmしか投げられないピッチャーに任せますか?

しかも、ピッチングと違って治療は肘も肩も壊さない。笑
しかも他の経営的な部分をしっかり構築すれば、それほどあくせくたくさんの人を診ずとも生活できる。
自分より下手っぴに任せる必要など一切ないのです!

僕たち技術を追求する人間がやることは、自分じゃないとできないこと以外を任せること。

受付業務全般やオペレーション。
会計業務全般は税理士の先生と契約。
自分が治療〝だけ〟に集中できる環境作りをすること、それこそが経営の第一歩になるのです。

 

 

まとめ

今回は、治療院経営の主流を思いっきりけなしました。笑

ただ、悪いとは思っていませんし、「どっちの生き方もあるよね」なんてヌルいことを言うつもりもありません。

悪貨が良貨を駆逐する、という言葉通り、拡大展開する悪貨のせいで業界が汚れているという部分は否めませんので、その怒りも込めて書いております。

というか、最近どっちつかずな意見の人多すぎません?

「そういう考えもあるよね〜、否定はしないですよ。僕は違う考えだけどね。どっちもあっていいんだよ」みたいな。

もちろんそういうジャンルもありますが、違うものは違うという部分もありますよね。

コロナにしてもそう。
自粛アホか〜って人も、コロナは死の伝染病だと思い込んでビバ自粛の人も、「どちらも良くなれと思ってんだよ」なんて肯定しても、論理的な意見を言えない人が、煽られてしょーもないこと言ってんじゃないよってなりますよ。

無知はそれだけで罪になることある、そう思っています。

治せない治療家が、自分いけてると勘違いするような手法の分院展開は、それそのものに罪があるのと同じです。

治療も経営も、まずは原理原則を学ぶことが大切ですね。

 

 

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