「患者さんから訴えるって言われてます」

以前僕に相談に来られた、ラボ会員ではない、ある先生のお話。

 

相談を受けた際、正直「うわ〜、普通にやってりゃこんな思いしなくて済んだし、正直、ラボでちゃんと学んでいればよかったのに」と思った内容です。

 

今回はその内容をもとに、回数券販売について考えていきたいと思います。

実際にあったトラブルの内容とは

治療院経営ラボ代表の松村です。
今回は相談された先生の許可を得て、記事を書かせていただいております。(もちろん匿名です)

こちらの先生は、治療院経営ラボの前身である整骨院自費成功アカデミーだった頃に僕のセミナーを受けられ、そこからSNSでつながりがあった先生です。

当時は自費移行したくてもできない、ということで僕が定期的に開催していた〝体験セッション〟というセミナーに参加されたのですが、アカデミーには入会しないという選択をされた先生でした。

SNSでは友達申請がありましたのでそちらを承認させていただき、その後は連絡もありませんでしたし、僕も会員の先生のフォローが一番大切ですので大して気にもとめていませんでした。

その後、ぼがアカデミーをスタートさせてから少しした頃から値引きチラシをアホほどポスティングさせて新規を集め、回数券を売りつけておいて短期間で「月商◯◯◯万円!」と言うのを売り文句にしてコンサル生やセミナー受講者や会員などを集める系が急に増えてきました。(その手法自体はもっと前からありましたが、それを教えるコンサルがそれほど多くありませんでした)

平成から令和になり、整骨院自費成功アカデミーを治療院経営ラボに変え1年経過した頃、その先生からメッセージをいただいたのです。

その内容が、冒頭のセリフでした。

詳しく教えていただいたところ、要するに値引きチラシをまきまくって回数券を売りまくる手法の会員になり、言われた通り真面目に実践されたそうです。

実践して4ヶ月ほどで月商100万円となりましたが、そこから伸び悩んだとのこと。
それを講師に相談すると、もっとチラシをまいて、もっと新規を集めて、もっと回数券を売るように指導されたので頑張ったそうです。

しかしながらチラシの反応率は下がり続け、あるときとうとうポスティングをしても反応がゼロということがあったそうです。

それをまた講師に相談すると、もっとポスティングしろと言われたのでその通りに頑張ったところ、治療院に電話がかかってきたそうです。

 

「以前回数券を買わされたものだけど、何回も通ったのによくならないどころか悪くなった。今は整形外科に通ってる。散々嫌な思いしたのに何回も家のポストにチラシを入れやがって。訴えてやる」

 

という内容だったそうです。

それもまた講師に相談したところ「どうせ金目当てだから返金すりゃいい」「回数券売るとき契約書交わしてるのだから強気でいろ」と指導されたそうです。

ただ、なんとなくそれではいけない、でもどうすればいいのかわからない、というときに僕がSNSで回数券ビジネスのリスクについて投稿してあるのを目にして連絡して来られたのでした。

 

 

トラブルに対する対処法とその結果

すでに相手の感情がかなりこじれているため、ただ「すみません」と言ったところで許してくれる可能性は低い。

とはいえ、「金返せばいいんだろ」とか「契約書交わしてるんだから今さら文句言うな」的な対応なんてしたらとんでもないことになります。

今できることは、お金に余裕ないなら分割ででもいいからすべて返金するという意思を見せ、さらに通院の際にかかった治療代も負担するという意思を見せること、もちろん謝罪にご自宅まで出向くことも提案させていただきました。

謝罪の場では、何を言われても一切言い訳せず、相手の話を最後まで聞き切ること、とはいえ、もし犯罪的な脅迫を受けた場合には逆に出るところに出るくらいの気迫を持っておくこと(矛盾してるようですが、譲れるとこととそうでないところのぎりぎりの部分の線引きは必要だと思っているので)などをアドバイスさせていただきました。

一度目は菓子折りすら受け取ってもらえず、話もしてもらえず、でしたが3回目の訪問でご自宅玄関まで入らせていただくことができ、最終的には回数券の返金だけで済みました。

それも最後は患者さん側が「通った分は使ってるわけだから全額でなくてもいい」とまで言ってくださいましたし、契約書的には消費した分の返金には応じないということになっていましたが、僕は全額返金をお伝えしました。

元々真面目な人柄だったこともあり、最後は許していただけたのでした。

 

 

値引きと回数券販売の真の怖さに愕然

その患者さんとのことは解決できましたが、その患者さんが謝罪を受け入れた際に話をしてくれた内容は、愕然とするものでした。

もうすでに何ヶ月も前から「あそこの院は高い回数券を売りつけられる」と地域でウワサになってしまっていることや、開業して10年近く経過していたので昔の患者さんからは「あそこの先生は昔はよかったけどお金に目がくらんでしまった」と言われているとのこと。

「別に悪くはならなかったけれど、全然良くもならないから回数券全部消費してないけれど通院をやめた」という方々がたくさんいてるので、身体のどこかが痛くてもその先生の院は選択肢から外れるだけでなく、「あそこはやめておいたほうがいい、回数券売りつけられるだけだ」という口コミが拡がってしまっていたようでした。

もし会員の先生なら・・・・と思うとゾッとしました。

とはいえ、せっかく相談されてるのに「あとは会員でもないから知らんがな」と突き放すのもどうかと悩みました。

 

 

回数券トラブル、むちゃくちゃ痛いけど根本的な解決策

正直、私自身がそこまで地域と関係性がこじれたことがありません。
いや、もしかしたら未熟な時代であったり保険時代であったりは「あそこ行っても治らなかった」と言われることや、もしかしたら「余計痛くなった」と言われる人もいたかもしれませんが、地域でウワサが拡がるほどではなかったと思います。(その証拠に今も広告せずに院を続けることができておりますので)

なので、正解が何かまったくわかりませんでした。

ですので経営テクニック云々ではなく、人としてどうするかを考えていただきました。

そういう方法を教えるコンサルももちろん悪いです。
しかし、院でそれをすると決めたのは先生本人ですから、やはり先生が責任を取らないといけません。

僕は来られなくなった患者さん、いわゆる休眠患者さんの中で、

・回数券全部消費せずに来院されなくなった患者さん

・回数券分は消費したけれど、それ以降回数券を購入せず来院されなくなった患者さん

をリストアップしていただきました。
その患者さん全員に、お電話にて謝罪とともに回数券の代金を全額返金する意思があること、そのかわり来院されなくなった理由を教えてほしいという旨を伝えるように言いました。

さすがに最初は嫌がっておられました。
そりゃそうです。
もし僕ならむっちゃ嫌です。

でも、僕はこうなるの予想できるから元々回数券売りつけることは絶対に選択しません。(理由は後述します)

経営者として、自分の経営判断に責任を持たなければなりません。

結果的には、相当額の返金となってしまいましたが、保険時代の貯蓄もあったのでなんとかなりました。

しかし来院しなくなった理由の多くが、通ったのに良くならない、先生がいつも疲れている(夜な夜なポスティングして寝不足)などが圧倒的多数だったそうです。

しかし中には、そういう真摯な対応で「もう1回信頼してみる」と返金しないでいいと言われるだけでなく、またお金を支払って治療を受けると言ってくださる方もおられ(少数でしたが)、首の皮一枚でつながった感じになりました。

 

 

たった数ヶ月で月商数百万円
夢のような状況が待っていたはずが
後悔しか残らない結果に

この先生、すべての対応を終えたあと、泣いたそうです。
誰もいない院で、帰ろうと思ったときに涙が溢れて止まらなかったそうです。

 

「いったい、俺はなんのために開業したんだ。いったい、なんで柔整師になったんだ」

 

と思ったら、誰もいない自分の院で、照明のスイッチを切って院が暗くなった瞬間に、はりつめた系が切れたように、涙が溢れて止まらなくなり、最後は嗚咽をもらすように泣いたそうです。

少し時間が経ってから「ラボに入って院を立て直しませんか」とお誘いしましたが、

 

「色々本当に感謝してます。でももういいんです。夢を見た自分がいけないんです。家族とともに細々と生きていける程度でやります」

 

と、言われました。
それからは連絡を取っていませんのでどうしてるかはわかりませんが、元気にしてくれていると思います。

 

 

もうだまされないで!
大切なのは院経営の土台をしっかり構築すること

今回は実例のお話でしたが、実は僕の元に相談に来られた先生はこちらの先生だけではありません。
例えば、同じ値引き&回数券の会に入会したら、その3ヶ月後くらいに同じエリアの先生が入会してきて、屋号だけ違う同じチラシを自分がポスティングした後を狙ってまかれて全部持っていかれたとか、会員の先生同士で潰しにかけられたという相談をいただいたこともあります。

また、同じように値引きチラシと回数券で数ヶ月はよかったけれどどんどん売上が落ちてしまい、そこからは何をしても売上があがらないという相談は結構な数にのぼります。

要するに、地域から嫌われてしまったわけです。
こうなるとリカバリーは容易ではありません。

別にいきなりラボに入りなさいとか、そんなことは言いません。
まず値引きチラシと回数券をやめましょう。

そして、離脱された方に連絡して隠れたクレームをあぶり出して処理してください。
まずマイナスをゼロに近づけない限り、プラスにすることはなかなかできません。

そして現在、経営の勉強をしてみようかと思っておられる先生は、経営を教える、売上をあげるとい言いながら安っぽいマーケティングもどきしか教えないところにだまされないようにしてください。

短期間で大金をつかむ系や、楽して大金稼げる系の話って治療院経営だけでなく、例えばネットワークビジネスであったり、FX系の話であったりと世の中にはたくさんあります。

そしてそのほとんどが嘘であったり、超ハイリスクであることがほとんどです。

〝治療院を開業して、ほんの半年〜1年だけ大金稼いで逃げ切る〟というスタンスで、移転を繰り返して短期的に稼ぐことを目指すなら値引きと回数券はアリですが、もし地域に根ざして10年、20年と地に足つけて治療院をやっていきたいなら、まずはあなたの治療院の経営の土台をしっかりと作る必要があります。

それ自体はとても地道なことをやらなければなりません。
地味で、すぐに結果につながらないことも多いです。

しかし、基礎を固めると1〜3年後には、それほどマーケティングなどせずとも、それほど新規獲得に躍起にならなくても、高い水準の売上をキープし続けることはできるのです。

スポーツでも、基礎が大事とよく言われますよね?
書道でも、いきなり草書体は書けないですよね?

院の売上をただあげるだけでなく、高い水準でキープし続け、治療に専念できる環境にするためには、治療院経営の基礎からしっかり構築することが絶対なのです。

 

 

ウソや偽りのメソッドを垂れ流す人たちに
もうだまされないでください!

そういう想いから治療院経営ラボのメソッドを一般公開させていただくことにしました。

決して派手ではありません。
最初は決して楽しくもないでしょう。
しかし素直に実践し続ければ、1年後その成果は計り知れません。

もし院の経営の土台をしっかりと固め、
治療に専念できる環境を作りたいとお望みでしたら
こちらをご覧ください。



https://cmlabo.jp/seminar/info/clinic-management-basic/

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