治療院経営ラボ代表の松村です。
現在は2023年、この記事は11月後半に書いているのですが、なんと僕が自費移行したのは2013年なので完全自費にしてもう10年以上になります。
2013年ってアベノミクスが出た年ですね。
そんな安倍晋三元首相もお亡くなりになられたわけです。
iPhoneは5が出た年です。
今が15ですから、あれから10回も新作が出てるわけですね。
まあそんなこんなで10年ひと昔、なんて言われますが、本当にかなり時代も変わってきてるよなって痛感します。
今回は保険の世界の現状と自費の世界について書かせていただきたいと思います。
自費にしたけれど売上が悪いとお悩みの先生や、これから自費移行したい先生はぜひ最後までお読みください。
保険市場は縮小し続けている
※PDFファイルはこちら→ https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/111116_01.pdf
表を見ていただくとお分かりのように、平成24年度からずっと伸び率はマイナスです。
柔整の保険が厳しくなってきたことで、あはきの療養費に避難した接骨院もありますが、あはき師免許を持っていない場合はわざわざあはき師を雇用しないといけないことや医師の同意書が必要というある程度のハードルの高さもあり、誰しもがそちらにシフトできたわけでもないことと、言ってもあはき両方の合計金額と柔整1つの療養費金額で3倍近く違うわけで、市場という視点で見たら柔整市場が縮小していっていることは間違いありません。
・保険の接骨院は開業数が減り、廃業が増えている
※PDFファイルはこちら→ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/dl/kekka3.pdf
令和2年までのデータなので、本当はもうちょっと新しいデータが欲しかったのですが、厚労省サイトって閲覧者に親切ではない(役所系サイトはみんなそうですね。閲覧する側の立場になって作られていない)ので見つけられませんでした。
ただこれを見ても、平成22年から平成24年は4000軒以上増えて(平成22年は宮城県をカウントしてないとはいえ、宮城県だけでそれほど大きく数字が変わるとも思えない)いますが、平成30年〜令和2年はなんと287軒しか増えていないという状況です。
まあ僕ら世代の頃の柔整の学校ってクラスの大半が開業志望でしたし、開業したくてこの業界に入ってきていたわけですが、今の学生は開業志望が少なくずっと勤務しておきたいという飼い殺し志望が多いようですのである程度数字が落ちて当たり前だとは思うのですが、それにしても10分の1以下の伸び率というのは異常です。
これは単に開業する人数が減っただけでなく、廃業数が増えたとも言えます。
日本は超高齢化社会ですので、柔整師業界ももれなく高齢化してます。
保険制度を利用して好き放題できた世代が、ある程度の財産を作って引退し悠々自適の生活、単に死亡して廃業、そして経営難による廃業と3パターンの廃業による数字ではないかとも想像できます。
もちろんコロナ騒動もあるので色々な要因での数字ですが、私の近所の保険ドップリ接骨院がもう数軒廃業していることからも単に開業するが減っただけでなく、廃業数が増えたとも言えるかと思います。
保険を使う接骨院のままでいるとはどういうことか?
市場は縮小していて、開業が減り廃業が増えている。
そういう業界って何と表現するのがふさわしいと思いますか?
そう
沈みゆく泥舟
です、まさに。
保険に頼った経営をし続けることって、自殺行為以外の何者でもないと思います。
本当に保険メインでは食えないのか?
日数の付け増しや来てない人を来たことにする架空請求などの悪質なものだけでなく、肩こりやヘルニア、坐骨神経痛など協定傷病以外の症状を協定傷病だと嘘をついて請求する置き換え請求という不正をもしない、真っ白な状態で保険メインで経営するとなると、捻挫、打撲、挫傷の患者さんを集めまくらないといけません。
さて、ここで質問です。
この記事をお読みのあなた自身、いつ捻挫しましたか?
ちょっと挫いた、レベルじゃなくてパンパンに腫れて痛くて生活に支障が出るほど足を挫いたのはいつでしょう?
肉離れ、いつしました?
ってか、肉離れを経験したことありますか?
脱臼したことあります?
骨折したとき、あなたはあなた自身の院に受診しますか?
次に、ちゃんと計算してみましょう。
例えば、真っ白な保険での経営で月商100万円ってどんな状態でしょうか?
捻挫、打撲、挫傷は1部位600円くらいでしょうか。
でも面倒なので、10割で1回1000円で計算してみましょう。
ちなみに、僕自身が柔道の練習をして試合に出ていた13歳から38歳くらいまでの間(しかも高校時代はかなりガチ競技で)に左肘関節脱臼、右肩関節脱臼、右肩板損傷、両膝内側半月板損傷(MRI撮ったら今でもパックリ割れてます)、右膝MCL断裂、左膝ACL断裂、肋骨骨折、左肩鎖関節脱臼(1度)というある程度教科書に載る怪我を経験し、なおかついわゆる突き指だ、打撲だってのは数え切れないほど経験してきましたが、未だかつて2部位同時負傷をしたことがありません。
先ほど1回1000円で計算するというかなり甘いことを書きましたので、こちらは2部位同時負傷はほとんどなく1部位のみの患者さんだけということにしましょう。
月商100万円÷1000円=1000人
月1000人、外傷患者さんが来院しなければいけませんね。
1000人÷20日=50人
20日稼働で1日50人来院する必要があります。
昔の勢いがあった柔整業界を知ってる方なら「なんや、1日50人かい、楽勝やな」と思われるかもしれません。
はたして怪我人が、1日50人も来ますかね?
問題はそこです。
先述したことに戻りますね。
あなた自身、いつ捻挫しました?
捻挫したとしたら、その捻挫何回治療しました?
昔みたいに月何日も2、3ヶ月継続して通院しますかね?
今の日本に、毎日毎日労災でも交通事故でもなく、趣味のスポーツやプライベートの時間での行動で怪我をするのがむちゃくちゃ多くて怪我人だけで1日50人来院する可能性のある地域ってありますかね、スキー場以外で。
ちなみに僕は何度も柔道大会の救護をやりましたけど、格闘技である柔道の大会ですら大きな怪我人が出ないという大会もありますよ。
さて、繰り返しますが年中通して労災でも交通事故でもない怪我人が、接骨院に1日平均50人受診し続けるような地域って、日本にあるのでしょうか?
社会のニーズに対応することは決して悪じゃない
骨折、脱臼が診れない柔整師・・・は罪なのか、というと、僕はそうじゃないと思ってます。
とはいえ僕自身、外傷を診てきた世代なので、昔は罪悪だと思っていましたが、今はもう社会がそうじゃない。
だって、そもそも都心部では整形外科でさえも外傷が少ない時代に、わざわざ接骨院には行かないです。
手首のあり得ない場所から曲がったときに「うわ、腕折れた!接骨院探そう」とは思わず、普通は119番しますよね。
レアケースはもちろんあります。
うちの院にも、2年前にコットン骨折(外転型)が来ました。
コットン骨折は整形外科勤務でも一生に一度遭遇するかどうかって感じのレアケースらしいのですが、なんと僕は修業時代も含めて2回遭遇したそのうちの1つなわけですが、たまたまうちの近所にお住まいの方で、その方の息子さんがうちの患者さんで「父親が足を捻挫してむちゃくちゃ腫れてるんですが病院は嫌いだと言って行きたがりません。接骨院なら行くというので連れてきていいですか?」と連絡いただいて、診させていただいたら、というか下肢台に足を乗せた瞬間「あ、これ手術ですわ」と言い切れるほどだったという、ほぼ事件のようなことはありましたが、今後もう10年以上そんなことはないだろうと断言できるほどのレアケースです。
結局送った整形でも対応できず、その整形から救急車で兵庫医大に搬送しオペとなった次第。
さて話を戻しますが、もしこけて鎖骨折れたときに接骨院行きますか?
僕なら整形で麻酔して鋼線入れてほしい。笑
おかげさまで修業時代に鎖骨骨折はよく整復しましたが(助手も含めて)、あんな痛そうなの味わいたくないです。
悔しいけど整形外科のほうが優れているジャンルは、もうそちらに譲ってしまえばいいんじゃないかとさえ思います。
とはいえ、外傷は柔整の1丁目1番地じゃないの?問題
理想論だけ語るなら、まったくもってその通りです。
僕自身、競技でそれなりの強豪校で柔道をしていて怪我をして接骨院に行って、それがきっかけで柔整師を目指したので外傷を診ることが柔整の正道であることは、わかります。
柔整師の教育上、これは残すべきです。
でも、そのためには整形外科医の協力が必要不可欠ではないでしょうか。
僕自身、学生時代はまだ柔整に理解のある整形外科医の先生ってもっとたくさんおられたイメージです。
修業時代なら「僕ら(整形外科医)はレントゲンやCT、MRI、エコーの読影技術はあなたたち(柔整師)より優れていると思います。でも触診や視診等で骨折かそうでないかを判別したり、それ(外傷)以外でも腰痛や膝痛などのときに触診である程度どこが悪いのか当たりをつける能力が欠けています。無料で画像の読影を教えるかわりにそれらを教えてください」と言ってくる整形外科医も存在しました。
今はどうなのでしょう?
もちろん、我々の業界は現在チェーン展開して保険を不正に使って(置き換え請求)、医学的な勉強が足りずに例えば腰痛の患者さんを適当に揉んで通院させ続け実は癌でしたということもあり、整形外科医からすればムカつく存在であることでしょう。
でも本当にそれだけが理由で毛嫌いするなら、柔整師を教育すればいいのです。
結局のところ、コミュ障レベルで患者さんと対話できない整形外科医が患者さんを奪われるという事実、さらに言うなら医師視点では原因がない、もしくは未だに画像診断がすべての写真屋のような整形外科医が、治せる柔整師を認めることができずに我々の技術のほとんどを雨乞いレベルのものだと決めつけて目の敵にするという点も問題ではないかなと思います。
エビデンスエビデンスと言うけれど、今の医学のエビデンスって結局は比較試験をした論文をさらに比較して検証したものがレベルが高いと言われているだけで、その比較も分母を増やして統計学的なことをしているにすぎません。
腰痛をたった1つのカテゴリーにしていくら統計的なデータを取っても、人それぞれ色々なことが違うので「腰痛治療は絶対これ」が出せなくて当然です。(まあだからこそ色々雨乞いレベルの治療法も生まれてくるという問題も抱えるのだが)
整形外科業界と柔整業界が歩み寄るための1つの手段としては、柔整師側がまず不正をやめることだと思うのです。
それこそ統計的に都心部で外傷が減っているはずなのに、1日何十人とか100人とかという人数の外傷患者さんが接骨院に来るはずがないじゃないですか。
いくら外傷が柔整の1丁目1番地だったとしても、です。
経営的に不正が軸となっているなら、それはもう1丁目1番地でもなんでもないよねということですし、先述したように、その理想論を掲げた接骨院が本当に日本で自分が食うだけでなく家族も食わせて、子供にそれなりの教育を受けさせてというレベルの生活をするだけ稼げるのかどうかというシビアな問題が必ずついてまわります。
だからこそ、歴史の授業とともに語り継ぐべき技術として、さらに言うなればPTと同様整形外科のリハで柔整師が重宝されるように整形外科医とともに柔整師の教育として外傷に関する全てを伝えていけばいいと思います。
保険患者の質問題
自費に変えたらわかるし、変えない限りわからない世界ですが、保険患者さんと自費患者さんの質をもし数値化できて平均値を出すと、自費患者さんのほうが断然質がいいです。
もちろん保険患者さんの中にも良い人がいますが、そういう患者さんは自費患者さんになりやすい方です。
実はこれはどの業種にも当てはまることです。
たとえばゴルフ。
これは僕の院の患者さん(経営コンサルタントをされています)と話をしていたのですが、安いコースはお客さんの質が悪いよね、と。
某A系列のコースは安いところが多く、昼ごはんも大して美味くない、ガンガン詰め込む、要するに薄利多売方式でコースを経営していますが、本当に客質が悪いです。
ヤンキーをそのまんまオッサンにしたような奴らが大声張り上げながらあちこちでたっしょんしてタバコポイ捨てして、グリーンはボコボコで・・・って感じです。
ちょっと上手な奴らはイキって下手な組が前にいると打ち込んできます。
ラウンドフィーはだいたい5000〜7000円くらい。
これがなんだかんだで1万円くらいになってくると、ガラの悪いのは老人だけで、僕ら世代より下の客質は一気によくなります。
そして1回の料金が15000円を超えると、ガラの悪い老人も消滅しとても快適にラウンドできる環境になります。
家があるのかないのかわからない感じで何日も風呂に入らず悪臭をさせて院に入ってくる、なんて自費では絶対にあり得ません。
長期間履き続けたからか、踵部分がすり減ってなくなって足の裏が真っ黒な状態の患者さんなんて自費では来院されません。
あっちやって、こっちやって、あの先生がいい、どの先生は嫌、あの機械は好きだからたくさんやりたい、その機械はやらない・・・なんてワガママをいう患者さんなんて、自費では存在しません。
真面目に治療に取り組もうとすればするほど、保険患者さんは治療家の精神を削りにきます。
来院動機は近いからであったり便利だからであったりと、治療を受けることが最優先事項でないことが多いです。
事実、本当に困ったら自費のところで、普段は保険使う接骨院で週2回マッサージを受けているという人もいるほどです。
僕らは、なんのために苦労して国家資格を取ったのでしょう。
頭を下げて「お願いします」「ありがとうございました」と言ってくださるのは、圧倒的に自費患者さんなのです。
自費で経営する唯一にして最大のデメリットとは
何事にもメリットデメリットがあるように、自費でやっていくにもデメリットが存在します。
治療院経営ラボには、自費移行に成功された先生が数十名いらっしゃいますが、その先生方にアンケートを取ってみたところ、皆さん口を揃えて言ったのは
ちゃんと経営努力しないといけない
ということでした。
まあ、普通に店舗商売をしている他の業種からすると「いやいや、それって普通だから」となるのですが、やはりそこは利権の世界なわけで、治療の勉強なんぞせずにテキトーに揉んであとは愛想よくニコニコしてるだけで患者さんが来ていた世界から、院は綺麗にして(自費レベルの綺麗さ)、技術を磨いて(モミモミはアウト)、しっかり患者さんと大人の関係性を築き上げて(問診含めたコミュニケーション)、専門的知識をベースに情報発信をして・・・ということを最低でも5年くらいはやり続けなきゃいけません。
保険のときのように休みの日は全部趣味に費やす、なんてクズなことはできなくなりますし甘えんなって話です。
野球したりゴルフしたりサッカーしたり酒飲んだりしてる暇があるなら、技磨こうよ、経営の勉強しようよって話なわけです。
頑張って自費に移行したけれど売上が悪い先生は、この経営努力をしていないか間違った方法をしているかのどちらかなのです。
まとめ
さて、そもそも療養費の金額が減っていたり廃業が増えている等の市場の衰退、患者の質の悪さ、社会全体のニーズや外傷患者の少なさを考えたときに、自費で経営できるようにしておかなければならないということは、小学5年生でもわかる理屈だと思います。
ではなぜ未だに保険に頼り切った経営をしている接骨院が存在するのか?
これは自費の世界を知らないからです。
そして自費の世界への行き方を知らないからです。
そして何より保険を捨てられないから、です。
決断とは〝決めて断つ〟こと
です。
何かをするには、何かを捨てる(断つ)必要があるのです。
そしてもう柔整の保険制度はいわゆる〝オワコン〟状態です。
あなたはいつまで沈む泥舟にしがみつきますか?
よく考えてみられるといいと思います。
決断できる、今年最後のチャンスです!
残り4席です。
自費移行に成功したい先生だけお申し込みください。
↓
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