治療院経営ラボ代表の松村です。

さて今回は問診の真の目的についてお話させていただきたいと思います。

というのも、問診について色々と勘違いしている先生が多いな、とラボ会員内外の先生からたくさんの相談を受けて感じたので。

まあこれは、我々セミナーを開催する側の発信する文言にも問題があるのはあるのですが(ラボも含めて)、そうしないと本当のことを言っても見向きもされないというジレンマを抱えた問題でもあります。

 

 

問診しなくても治療はできる問題

身体だけを治療するのなら、患者さんの身体を観察し、検査をすることで悪い部分はわかりそれを改善すれば症状がなんであれ、身体はよくなっていきます。

もっとも、そのレベルにすら達していないで、無資格マッサージ屋に毛が生えた程度の有資格者の先生方もいるというところにも問題はあるのですが、本来治療というのはそういうものです。

私が整体を教わっている先生は、はっきりそう言われます。
今は丸くなられましたが、とんがっていた頃は患者さんが痛いところを言おうとすると「わからないと思ってるの?」と言い切っていたそうです。

それくらいの技術レベルになる必要はあるし、私自身もそのレベルになろうと今も研修を受け続けています。

とはいえ、そんな整体の先生も最近は「話を聞いてあげるのも大事だね」とおっしゃいます。

 

 

問診の目的はリピートさせることにあらず

もちろん、ずっと私が提唱しているように通院することで治るという側面がある以上、問診はリピートさせることが最大の目的かのようになってしまっているように思います。

ではもし、絶対にリピートできない患者さんが来院されたときにあなたは

「どうせリピートしないんだし、問診もテキトーにしてちゃっちゃと治療してさっさと終わらせよう」

などと無下にあしらうようなことをするのでしょうか?

もしそうなら、あなたは治療家失格です。
できるなら改心するか、改心する気がないのなら廃業するべきです、日本国民の健康を守るために。

なんのために問診をするのか、については後述するとして、まずはリピートありき〝だけ〟ではないということを念頭に入れておいてください。

 

 

患者さんはウソをつく?

人はみな、それぞれバイアスを持っています。
人それぞれ価値観があり、その価値観とは過去の経験とそのときの感情から形成されます。

人は自分の価値観を基準にして、良い悪い、好き嫌い、やるやらない・・・・等の選択をしていきます。

まず大前提として、患者さんは我々専門家ではありません。
無資格者であれば無知ゆえにどんな価値観を持っているか計り知れない部分はありますが、国家資格を持っていてそれなりに医学的知識を勉強し続けていて、なおかつ治療技術も磨き続けている先生であれば、同業同士ではだいたい似た見解になるという点では、

・国家資格を持っているレベルの医学的知識があり
・現在も医学的知識で必要なことはアップデートしていて
・治療技術も継続して学んでいる

という条件がそろえば、話をしても価値観が似てくることはあります。(たとえ違う治療法を学んでいたとしても)

しかし、同じ治療家であっても上記3つの条件に揃わない場合、はっきり申し上げて条件が揃わない側の先生は条件を満たしている先生同士の会話はチンプンカンプンになることでしょう。

治療家同士でもそうなのですから、国家資格を持ってないどころか治療家でもない患者さんは我々治療家とはまったく違う価値観をお持ちです。

それに加え、患者さんご自身の「早く治したい」「早く楽になりたい」というような欲求であったり、慢性的な症状でお悩みの場合は過去に受診した病院や治療院での体験(ポジティブなものもネガティブなものも)などから、自身の症状や治療院、治療家という存在について独自の価値観をすでに形成していることが多いです。

例えば、20年腰痛にお悩みの方がいらっしゃったとして、本人は素人なりにかなり悩んでいたとします。
それこそ、癌なんじゃないかとまで。

病院に行って検査しても異常なし。
でも不安なので治療院を受診したところ「大袈裟すぎる」「気にしすぎ」などと言われ、気に入らないので色々な院にいくけどどこでも「気にしすぎ」「メンタルだ」などと言われ、やれ認知行動療法だ、やれ精神安定剤だ、やれ瞑想だ・・・と言われまくった経験を積んであなたの院に来院されたとします。

その患者さんにとっては、自分のメンタルが原因ではなく何かが悪いから腰が痛いんだ、なのに誰もわかってくれないという価値観が形成されます。

そういう場合、なんとか症状だけでなくそういう事情もわかってほしいという思いから、大袈裟な表現をすることもあれば、疼痛誘発系の検査をすると痛くもない検査で痛いと言ったりという状態になることもあります。

要するに悪気はないのだけど、わかってほしいという一心から〝結果的に〟にウソをついてしまうということもあるのです。

 

 

真の問診の目的

結論から先に言うと、問診の目的は患者さんの価値観を我々が把握することです。

先述したように、価値観とは価値観とは過去の経験とそのときの感情から形成されます。

症状は「どんな症状ですか?」と聞いたらそれで終わりです。

フォーカスすべきはそこではないのです。
患者さん自身も、患者さん自身の価値観という色眼鏡で物事を判断し、それを言葉にします。

質問を繰り返し行っていくことで患者さんの価値観を理解することが最初の目的なのです。

誤った価値観であれば、その誤解を解く努力が必要です。

その際、多くの先生方は患者さんを否定してしまいます。

「◯◯(症状)にいいと思って□□したんです」と言われた場合、それがたとえアザができるくらい強くゴリゴリする身体に害がある行為だったとしても「そんなことしてるから治らないんです」と言ってはいけないのです。

その患者さんにとっては、ゴリゴリするのが正義と思っているわけですから、それを説き伏せたり罵ったりすることなく、まずは受け入れてから〝なぜアザができるほどゴリゴリしたのか〟を考え、さらに深く質問していくべきなのです。

 

 

受け入れれば、受け入れられる

まともな患者さん、という条件付きではありますが、治療家がまず患者さんの価値観を受け入れれば、患者さんは安心しますので今度は我々治療家の言うことを受け入れるようになります。

症状は現在のことですが、症状が作られた原因は過去にあるわけです。

患者さんを治療するということは、患者さんの過去、すなわち人生を理解することから始めなければなりません。

それゆえに治療家は、患者さんに人間的な成長をさせていただけるのです。
もちろん、クソみたいな患者さんもいます。
心の闇が深すぎて、患者さんの価値観なんぞわかりたくないと思う場合もあります。

クソみたいな患者さんはなるべく受診する確率が下がるように院の仕組みを作ればいい。
メンタル系に重い問題を抱えている人を受け入れる、受け入れないも最初に設定して、受け入れないと決めたなら「申し訳ありません、当院では対応できません」と言えばいい。

でも、キャリアの浅い先生(臨床年15年程度レベルくらいまででしょうか)は、クソみたいな患者さんだと思っていたら単に治療家が未熟で反発させるような言動を治療家自身が取っていただけ、なんてことはたくさんあるので、患者さんにどんどん揉まれる期間を作ったほうがいいと思います。

 

 

問診は治療の一部になり得る

真・問診講座の初期は、最初に僕が問診の一部をデモで行って受講者の先生の身体のB&Aを出していました。

触れずとも、気やエネルギーを送らずとも、問診の準備段階ですでに相手の身体は変化します。(それを良しとするのか技術で変化させてないからダメとするのかは、臨床者的思考か研究者的思考かによる差)

逆に言えば、ダメなことをすると患者さんの身体は悪くなるということです。

それをわかっていただくためのデモンストレーションです。
(現在は時間の都合上やっておりませんが、見せろと言われればいつでも見せられます)

要するに、患者さんが足を踏み入れた治療院は、安心安全の場であると思っていただき、患者さん自身の選択(この治療院を受診したこと)が間違いではなかったと思っていただくことで、患者さんの身体は治る方向に作用しだします。

また術者側も必ずバイアスがあります。
自分のバイアスもあれば、専門家特有のバイアスもあるので、実は患者さんより厄介。

そしてなぜか治療家は自分を疑うことを忘れがちです。

あなたが「◯◯にちがいない」と〝思い込んでいる〟ことは本当に正しいことなのでしょうか?

エビデンス?
今の医学のエビデンスって確率統計ですよね?

しかも、その多くが条件を揃えることができていないので、ガチの確率統計論から言うと微妙なんですよね。
だって、たとえ腰痛600人集めて、200人は治療した、200人は治療しなかった、200人はプラシーボで比較したとしても、人間っていくら同じ人種と性別、年齢、血液型で揃えたとしても、それぞれの感受性や生活習慣、性格もですし、それこそ今まで育ってきた環境も違うわけで、結果として腰痛が出ていてもその原因が違うわけですから、分母になり得ないんですよね。

そんなもののデータでしかわかっていないことしか信じないで、それを正解を思い込んでいるのなら臨床者としてはまだまだです。

いくら心理学だなんだとジャンルを変えて医学論文を読み漁ったところで、結局はこの問題から逃れることはできません。

それよりは、自身の心をフラットにして、専門家だけど患者さんから患者さん自身の情報を聞き出しているその時間だけは、専門家としてではなく、同じ人間として素直に言われたことを言われたままメモに書き取るように聞かれてみてはどうでしょうか?

私は問診講座では「患者さんが前屈みになったときに腰が痛いと言ったのをカルテに前屈時(+)と書き換えるな」と伝えます。

専門用語に書き換える時点で、バイアスがかかってしまうので、慣れるまでは徹底していただきたいのです。

そうやって、患者さんの価値観を理解し、受け入れた段階ですでに患者さんの身体は治ろうとするためのシステム(すなわち免疫系)が活発になってくるのです。

さらに受け入れたことで患者さんもこちらの言うことを受け入れていただけるようになるのです。

 

 

まとめ

今回は問診の目的について書かせていただきました。

問診とは、患者さんの価値観を受け入れ、僕たちを受け入れていただけるようにするために行うものです。
決して病状把握するためだけのものではありません。

今回の記事をお読みのなられた先生方は、ぜひとも自分自身をも疑える治療家であってほしいと思います。

そして、患者さんの過去の経験からくる恐怖や不安を、ある程度でいいので理解した上で治療することができるようになれば、治療家としてもレベルアップできるのではないかと思います。

4月21日(日)にラボの問診メソッドの基本をお伝えする〝真・問診講座〟を開催します。
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