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患者さんへの配慮が、結果を変える ― 治療技術の基礎の「き」/B&Aの出し方

2026 6/22
セミナーレポート
2026年6月22日
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患者さんへの配慮が、結果を変える ― 治療技術の基礎の「き」/B&Aの出し方

2026年6月21日、大阪・梅田で治療院経営ラボのグループセッションを開催しました。テーマは「治療技術の基礎の『き』/B&Aの出し方」。講師は理事の松村正隆先生です。

13時から17時まで、技術の土台となる「脳と痛み」の話から、実際の手の当て方の練習まで、みっちりと指導をいただきました。

参加された会員の先生方と一緒に、私もあらためて学び直す4時間になりました。今日はその内容を、復習を兼ねてレポートとして残しておきます。

目次

まず、これだけ覚えておきたい

身体を変えるのは「刺激だけ」ではなく、脳に与える「安心」である ――。

セッションは、この一文から始まりました。

痛い施術は「効いている証」ではなく、脳が”危険だ”と判断した証だというのです。長く現場に立ってきた先生ほど、ハッとさせられる入り口だったのではないでしょうか。

脳の中の”見張り番”

私たちの脳の奥には、扁桃体(へんとうたい)という”見張り番”がいます。24時間、たった一つの仕事をしている番犬のような存在です。

その仕事とは「いま入ってきた感覚は、安全か? 危険か?」を判断すること。

熱いヤカンに触れた瞬間、考える前に手が引っ込む。暗い夜道で後ろの足音にビクッとする。

どれも見張り番の仕事で、頭で考えるより速いのがポイントです。

だから「痛いけど、効いてるんだろうな。我慢しよう」と患者さんが頭で納得しても、身体はその理屈を聞いてくれません。

本人が納得する前に、見張り番はもう「危険!」と反応済みなのです。

不快な施術で身体に起きること

「不快!」と感じた身体は、野生動物が敵に出会ったときと同じ”防御モード”に入ります。

  • 筋肉がギュッと硬くなる
  • 血の巡りが悪くなり、酸素・栄養が届かない
  • 痛みに敏感になり、もっと痛く感じる

硬い・巡らない・もっと痛がる。

これではB&A(施術前後の変化)が出るわけがありません。

逆に「安心」した身体は副交感神経が優位になり、筋肉が緩み、血が巡り、痛みを感じにくくなる。ここで初めてB&Aがハッキリ出る、というわけです。

しかも見張り番は”覚えている”。不快をくり返せば「あの治療院はダメ」と記憶し、通うほど緩みにくい身体になる。

気持ちいい施術なら「あの先生は安心」と記憶し、触れただけで緩む身体に育っていく。技術論である前に、信頼の積み重ねの話でもありました。

「実は、ちゃんと証明されている」

ここからが松村先生の話の核心でした。半場道子『慢性痛のサイエンス』(医学書院)で紹介されている、腰痛患者さんの脳をfMRIで撮った研究です。

痛みの”正体”は、途中で引っ越すというのです。発症して間もない亜急性期は、脳の「感覚の部屋」が働いている=腰に本当に痛みの原因がある。

ところが長引いた慢性期になると、脳の「感情の部屋」が働く=腰にはもう原因がないのに痛い、という状態に変わる。

データでも、慢性期の患者さんでは痛みの入口である視床がもう働いておらず、扁桃体や内側前頭皮質といった情動系が痛みを作り続けていました。痛みの強さはほぼ同じなのに、痛みを作る場所が「腰」から「脳の感情」へ移っている。

つまり長引く痛みは、もう”腰の痛み”ではなく”脳と感情の痛み”。不快な刺激は、その「感情の部屋」をさらに刺激して、ますます治らなくする。慢性痛の患者さんにとって、不快感は文字通り”火に油”なのだと、深く納得させられました。

たった2つの道

まとめれば、施術には2つの道しかありません。

痛い・不快な施術は、見張り番が「危険!」と判断し、身体が守りに入り、B&Aが出ないどころか悪化し、嫌な記憶が残る。

気持ちいい・安心な施術は、見張り番が「安全!」と判断し、身体が開き、B&Aがハッキリ出て、良い記憶で次も緩む。

患者さんの身体は、私たち施術者を「敵か、味方か」で見ている。「味方だ」と思わせた瞬間から、身体は勝手に変わり始める ―― この言葉を胸に、後半は実際に”味方”と思わせる手の当て方を練習しました。

会場で受け取った、もう一つの宿題

今回の会場は、普段は予備校として使われている教室でした。その壁に、受験生に向けた一枚の言葉が貼ってあったのです。

「できるドーピングは、たった一つ。努力だ」

施術技術の話と、不思議とまっすぐつながりました。人は新しいことに挑むとき、脳にストレスがかかります。だからすぐに、慣れ親しんだ神経回路を介したローエネルギーの習慣へと戻ってしまう。

自分に足りないものを補うには、グループとファシリテーター ―― メンターや師匠のもとで、一定期間、本気で頑張る環境がどうしても要る。

その日、私の隣に座っていた先生も、終わったあとに「自分の足らずがよく見えた」とつぶやいていらっしゃいました。

会場にいた全員が、それぞれの足らずを認め、技術の研鑽に務める意思を新たにした ―― そんな半日だったと思います。

ラボは、その「頑張れる環境」であり続けたい。私自身もまだ学びの途中です。

次のセッションでも、会員の先生方とご一緒できることを楽しみにしているつもりです。

参加された先生方の声

本日もありがとうございました。知らず知らずのうちに、患者さんが不快に感じる言動をしてしまっていると思うので、明日から「安心・安全」を感じてもらい、「治りやすい場」を作れるよう意識を高く持ちたいと思います。マウントだと思っていなかった言動が、マウントになっていたと、いくつも気付けたので直しています。

―― きっかけ整体院 近藤俊介 先生

本日もありがとうございました。人間が新たに思うことが、こんなにも揺れて影響するのかと、あらためて実感しました。まず患者さんに嫌われないよう、環境、身だしなみ、言葉遣いを丁寧にして、今後の研鑽に努めます。今後ともよろしくお願いいたします。

―― 原田鍼灸整骨院 原田直樹 先生

治療技術の基礎の「き」― B&Aの出し方を受講させていただいて、脳や自律神経の働きを詳しく説明していただけたので、イメージがしやすくなりました。「快・安心・安全」を意識して施術にあたりたいと思います。ありがとうございました。

―― 松村鍼灸整骨院 松村直彦 先生

最後までブログをお読みいただきありがとうございました。

治療院経営ラボで一緒に学びたいとお考えでしたら、HPよりお問い合わせください。

(監修 柔道整復師・鍼灸師 治療院経営ラボ代表 作尾大介)

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