チラシの文面がありきたりになってしまう先生へ。
差別化のつもりで書いた一文が、実は誰にも刺さっていないことがあります。この記事では、なぜその一文が空振りするのかと、代わりに何を書けば伝わるのかを書きます。
「うちの強みですか。ボキボキしない、優しい施術です」
それ、たぶん伝わっていません。
事業サポート会議という、会員の先生の案件を一件ずつ見ていく場があります。 その日は、先生が作られた案内文を目の前で添削していました。
僕がいちばん多く赤を入れるのは、症状の説明でも料金でもありません。 「うちの強み」を書いた部分です。
そして、ほとんどの院で同じ文章になります。 どの先生も、判で押したように同じところで空振りする。
同じ間違いが同じ場所で起きるなら、それは先生方の書き方の問題ではなく、構造の問題ですよね。 ってことで、その構造から書きます。
相手が気にしていないことに、答えていませんか
「ボキボキしない、ソフトな施術です」
この一文が入っている案内を、僕はもう何十枚も見てきました。
書いた先生に悪気はありません。 むしろ、患者様の不安を取り除こうという配慮です。
ただ、これを読んだ人の側に立ってみてください。
その人は、ボキボキを気にしているでしょうか。
気にしていない可能性が、けっこうあるんです。 殴られるくらい痛くても、改善するならそれでいい。 そう思っている方は実際にいます。
つまり、相手が気にしていないことに向かって「安心してください」と言っている。
これは何も言っていないのと同じなんですよね。
大阪の方なら、レジャービルみそののCMをご存じかもしれません。 「飲んで美女とは腕次第」というフレーズでキャバレーを紹介しているんですが、あれ、大阪の人以外には何のことだか分かりませんよね。
言葉としては成立しているのに、意味が届いていない。 同じ構造です。
お客さんは「これは一生治らない」と思っています
では、何を書くのか。
相手が望んでいて、しかも他ではできないこと。 これを言い切ります。
電気屋さんへ冷蔵庫を見に行ったのに、マッサージチェアから立てなくなる方っていますよね。
あの方は、自分はもう一生このコリから離れられないと思っています。 マッサージチェアが手放せない体なんだ、と。
でも、離れられます。 先生方がちょいちょいっと触れば、離れられるじゃないですか。
そうなんです。 売り物はここです。
多くの方は、自分の不調は解決しないものだと思っています。 もっと言えば、解決できる人がいるとしても、それは都会にいる超能力者みたいな人だろう、くらいに思っています。
それが、手の届く距離に、普通の値段である。
この落差を伝えないまま「ボキボキしません」と書いても届きません。 落差のほうが、はるかに強い情報だからです。
だから、言い切ってください。 「無理なこともあります」は書かない。 書いた瞬間に落差が消えます。
自分に当たり前のことほど、書き落とします
なぜ、この落差が書かれないのか。
先生方にとって、当たり前だからです。
東京で修行してきた息子さんが地元に帰って、実家のお寿司屋さんを継ぐ。 店がボロボロなので、少しこじゃれた料亭風に改装する。 単価3,000円だった店を1万円くらいの構えにして、玄関から中が見えないようにする。
これで成功する例が、地方にはけっこうあります。
なぜかというと、地元の方は「この街にそんな店はない」と思っているからです。 あると分かった瞬間に人が動きます。
治療院もこれと同じですよ。
先生にとっては毎日やっていることでも、患者様にとっては「この街にはないもの」なんです。
ところが案内文を書くとき、その前提が飛びます。 自分には当たり前すぎて、わざわざ書くことだと思えないからです。 そして「ボキボキしません」のような、書きやすいことだけが残る。
言い換えると、書けないのではなく、見えていない。 経営の現場でも、自社の強みを聞いたときに同じことが起きますよね。
書く前に、一行だけ決めてください
紙に向かう前に、一度だけ確認してみてください。
この紙を読む人は、そもそも治るとは思っていない。 その人に、いちばん先に伝えるべき一文は何か。
これが決まれば、あとの文章は勝手についてきます。
決まらないうちに書き始めると、また「ボキボキしません」に戻ります。

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