チラシもブログも書いているのに、反応が読めない先生へ。
治療院の先生84名から届いた原稿を、2018年から数えると、のべ1,354件になりました。直される場所は決まっていて、修正ポイントの上位6つで指摘の過半数を占めます。この記事では、その6つと、自分で直せるものと自分では見えないものの分け方を書きます。読み終える頃には、次に原稿を出す前に何をして、出したあとに何を聞けばいいかが決まっているはずです。
「これで大丈夫ですか」
先生から原稿が届くとき、だいたいこの一言がついています。
チラシ、ハガキ、ホームページ、ブログ、患者様の声。 僕はそれを2018年から、治療院の先生84名分、のべ1,354件見てきました。 メッセージでのやり取りだけを数えています。電話相談は入っていません。
で、先日、その全部を数えてみたんです。 どこに問題を抱えているのか。
そうすると、場所はばらばらではありませんでした。 はっきり偏っていたんです。
施術に自信が持てるほど、患者さんが知りたいことが見えなくなります
いちばん多かったのは、読み手にとって必要な説明が入っていない原稿でした。 治療院の先生への指摘のうち、14.9%がこれです。
同じ数え方を、畳店や工務店の原稿でもしてみました。 そちらは9.0%。
媒体の違いじゃないの、と思いますよね。 治療院の先生は広告やセールスレターが多いから、その分だけ増えているのではないか、と。
なので、同じ媒体どうしで比べ直しました。
ハガキで、治療院20%に対して畳店9%。 チラシで、治療院14%に対して畳店7%。
同じチラシを書いても、2倍の頻度でここを指摘されています。
畳店の先生方が上手い、という話ではないんです。 畳店は畳店で、見た目と素材が作れない(13.4%)とか、良し悪しを自分で決められずに預けてくる(19.0%)とか、別の場所で詰まっています。
詰まる場所が違うだけ。
じゃあ、なぜ治療院の先生だけ、説明が抜けるのか。
患者様の声の原稿で、こういうのがありました。 肩こりの方が、正しい姿勢に戻ったら楽になった、という話です。
僕が返したのはこれです。
「正しい姿勢って何? この人の悩みな痛みとどんな関係があるんですか?」
そして、
「姿勢良くなったら悩みが取れるなら、家で姿勢良く座ってたら肩こり治るってことですよね。 整骨院いらんやん!」
先生にとって、姿勢と痛みの関係は、説明が要らないくらい当たり前のことです。 毎日、身体を診ておられるんですから。
だからこそ、患者さんがそこで止まっていることが見えない。
これは、施術のレベルにかかわらず起きます。 知らなかった頃の自分には、もう戻れないからです。
専門を持った人には、必ず起きること。 先生の性格の問題ではありません。
治療家が間違う文章パターン6選
数えた結果を、上から6つ並べます。 カッコの中は、治療院の先生への指摘全体に占める割合です。
- 読み手にとって必要な説明が入っていない(14.9%)
さっきの姿勢の話です。 先生の頭の中ではつながっているのに、紙の上ではつながっていない。 読んだ患者さんは、それで何をしてくれるのか、のところで止まります。
- 自分の側から書いている(10.3%)
「当院は」「私は」で始まる原稿です。 これを指摘されたある先生の返事が、そのままの答えになっています。
「そんな自分自分してるって、言って頂かないと気づきもしてなかったです」
別の先生は、こう書いてこられました。
「どうしても『治療、治療』『俺凄い』になってしまうんですね。笑」
僕の返事は「なんででしょうねw 読み手目線で見直せばいいかもです〜。」でした。 ほんとに、なんででしょうね。 でも、みんなそうなるんです。
- 話の順番が組めていない(8.1%)
院の歴史、施術の内容、料金、と続いて、最後に「こんな症状の方へ」。 先生の言いたい順番であって、患者さんが知りたい順番の逆になっています。
- 抽象的で中身が浮かばない(7.7%)
根本から改善します、一人ひとりに合わせた施術。 どこの院にも書いてあって、読んでも何をされるのかが浮かびません。
- 言葉が患者さんのものになっていない(7.7%)
可動域、骨盤の歪み、筋膜。 先生の言葉です。 患者さんが問診で言うのは、「朝、靴下が履けない」のほうですよね。
- 誰に向けた何なのかが定まっていない(6.4%)
腰痛も肩こりも産後もお子さんも、1枚に全部。 誰も、自分のことだと思って読みません。
この6つで、治療院の先生への指摘の55.0%になります。 半分以上が、この6つのどれかです。
自分で防げる4つのミスと、人に見てもらう2つ
上位6つのうち3位、4位、5位、6位は、添削までに自分で問題が分かります。
順番なら、最初の3行に患者さんの症状が出ているか。 抽象語なら、「根本」「丁寧」「一人ひとり」の後ろに、何をするのかを1文足せるか。 言葉なら、患者さんが問診で実際に口にした言葉が入っているか。 宛先なら、一人の患者さんの顔を思い浮かべて書いたか。
原稿を出す前に、この4つだけ見てください。 ここは、先生ご自身で防げます。
問題は、1と2です。
読み手にとって必要な説明が抜けていること。 自分の側から書いていること。
この2つは、自分で読み返しても見えません。 自分にとって当たり前になったことは、抜けていても引っかからないからです。 チェックリストを作っても、ここだけは残ります。
じゃあ、AIに見てもらえばいいじゃないか。 そう思いますよね。
僕もそう思って、試してみたんです。 実際の添削のやり取りから僕の返事だけを伏せて、AIに代わりに答えさせ、僕の実物と突き合わせる。 100件やりました。
そのまま送れたのは、いちばん条件のよいときで、10通に1通でした。
AIは、聞かれたことに答えます。 「これで大丈夫ですか」には、大丈夫かどうかを返す。
僕は、先生が当たり前だと思っている前提のほうに引っかかります。 「整骨院いらんやん!」は、原稿の出来の話ではなくて、前提の話なんです。
そこは、その専門を持っていない人間が読んで、初めて見つかるところです。 先生にも見えないし、聞かれたことに答えるAIにも見えない。
ということで、順番はこうしてください。
まず、3位から6位を自分で防ぐ。 それから出す。 そのうえで、相談の予約を入れてください。
相談では、「これで大丈夫ですか」ではなく、患者さんが知りたいことが書けているか、自分の側から書いていないか、を聞いてください。 聞き方が変わると、返ってくる中身が変わります。
原稿は、出す前に一度見せてください。 自分で防げるところが先に防いであるほうが、相談の時間を、自分では見えない2つに使えます。 月例のワークでも、この話を続けています。

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