技術を教える側に回り始めた先生へ。
相場を調べても、あなたの値段は出てきません。この記事では、値段が一発で決まる質問の立て方と、募集をかけるときにやってはいけないことをお話しします。
「出張指導って、いくらでやればいいんでしょうか」 「相場を調べたら分かるんじゃないですか?」
それが、調べても出てこないんですよね。
治療院経営ラボには、事業サポート会議という場があります。 会員の先生と一緒に、数字を見ながら次の打ち手を決めていく会です。 先日の回で、この値段の話になりました。
相談されたのは、技術の講座をお持ちの先生です。 受講された先生方から「うちの院にも来て教えてほしい」と言われるようになった。 往診のように出向いて、その場で治療を教える。
ありがたい話です。 でも、値段が決まらない。
で、僕は相場の話を一切しませんでした。 代わりに、逆から聞きました。
この聞き方は出張指導に限りません。 新しいメニューを作ったのに値段が決められない、という場面ならそのまま使えます。 ってことで、やりとりをそのまま書いておきます。
払う側に立って、いくらから嫌になるかを聞く
質問はこうです。
別の先生が、あなたの院まで出張指導に来てくれるとします。 すごい腕の人です。知らない技術を教えてもらえる。
いくらだったら、絶対に嫌ですか。 「ふざけるな」と思うのは、いくらからですか。
なぜこう聞くか。 売る側で考えると、数字がぶれるんですよね。 高くしたい気持ちと、安くしないと売れないという不安。 この二つが混ざって、いつまでも決まりません。
ところが払う側に回った瞬間、みんな正直な数字を出します。 自分の財布の話になるからです。
返ってきた答えは、20万円なら考える、15万円が上限。
そこから引き算します。 交通費が往復2万円。 手元に残るのは10万円ちょっと。
そうなんです。 10万円プラス交通費。 これがご本人の中に最初からあった数字です。
「もっと取れますよ」とは言わない
この場面で「もっと取れますよ」と言うのは簡単です。 実際、言う人は多いと思います。
でも僕は言いませんでした。
自分の中で高すぎると感じている金額って、口に出すたびに苦しいんですよね。 提示するのがしんどくなって、そのうち募集をかけなくなる。 メニューだけが残って、誰も来ない。
値段は、続けられる額かどうかが先です。 儲かる額ではありません。
無理をした設計はどこかで必ず止まる。経営と同じ原則ですね。
2時間で切り上げる
金額が決まりました。 次は時間です。
滞在は2時間。
これは短く済ませたいからではありません。 受ける側に、それ以上は入らないからです。
初めて習うことを2時間浴びたら、頭がパンパンになります。 ヘトヘトです。 3時間4時間と延ばしても、覚えて帰れません。
教える側も同じですよ。 初対面の相手に集中して教える2時間は、想像以上に消耗します。
10万円で2時間。 まずこの組み合わせで一度やってみて、そこから調整すればいい。
よその27万円は、自分には使えません
この日の会議では、もっと高い設定の話も出ました。
院の見学だけで27万円。 そのあと考え方とスタッフ指導と技術をワンパックにして、一人27万円。 セミナーのバックエンドが200万円という世界もあります。
こういう数字を聞くと、うちもいけるんじゃないかと思いますよね。
まず無理です。 あの金額は、その方の看板があって初めて成立しています。 他人の数字を借りてきても、自分の口から言えなければ、値段として機能しません。
募集は広げない。卒業生にだけ声をかける
値段と時間が決まったら、次は誰に出すかって話ですよね?
ここはこの先生の条件から決まりました。 まず前提として、先生はすでに講座をお持ちです。
出張指導は、その講座に出てこられない方のために始まったメニューでした。 みんなが集まる場は気まずい。できないところを人に見られたくない。 そういう方が、一人で受けたいと言ってくる。 数としては、ぽつり、ぽつりです。
つまりこれは、新しいお客様を集めるための入り口ではありません。 講座に戻っていただくための、脇の道です。
そう考えると、ウェブサイトでの一般募集は向きません。
素性の分からない方が申し込んでくるからです。 そういう方が一人来ただけで、教えること自体が嫌になります。 「もういい、やめる」となる。 せっかく作ったメニューを、自分から畳むことになるんですよね。
じゃあ誰に出すのか。
すでに講座を受けてくださった方と、卒業された方です。
狭いように見えますよね。 でもこの層、ちゃんとニーズがあります。
講座の場では質問が出てこなかった方が、個別なら聞けるんです。 「その場では質問はないけど、後になって、こういうときどうするんだろうと思う」。 そういう方がいらっしゃいます。 みんなの前でできないことを知られたくない、という方もいます。
そういう方の院に、個別で伺う。 そこから講座に戻ってきていただく。 この流れが自然です。
告知も控えめでいいと思います。 「年間何件やります」と目標を置く必要もありません。 メニューに書いておいて、「言ってくれたら行きますよ」。 それぐらいの弱いつながりで十分です。
念のため書いておくと、これは講座を持っている先生の場合の話です。 新規のお客様を集めたいのなら、出張指導は入り口に向きません。 そのときは別の入り口を用意することになります。
出張は弱く、来院はしっかり案内する
一方で、先生の院に来ていただく指導のほうは、しっかり案内してください。
実際に来られた方は、たいてい驚いて帰られます。 話に聞いていた通りだった、と。
見学に来る方って、内心では話を半分に聞いてるんですよね。 その落差が、いちばん強い宣伝になります。
言い換えると、出張は弱く、来院はしっかり。 この配分から始めてみてください。

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