学んだあと「自分なりにやってみます」と言いたくなる先生へ。
講座やワークのあとで「あとは自分なりにやってみます」とおっしゃる先生がいます。前向きな言葉なのに、半年後に伺うと何も変わっていないことがほとんどなんです。この記事では、なぜそうなるのかと、僕自身が同じことをやって1年を無駄にした話を書きます。
月例ワークの帰りぎわや、電話相談の終わりに、こう言われることがあります。
「ありがとうございました。ここからは自分なりにやってみます」
嬉しい言葉ですよね。僕もその場では応援したくなります。
ただ、正直に申し上げると、このあと院が変わった例をあまり見ていません。半年後に伺うと、たいてい前と同じことで困っておられます。
僕も、自分なりにやって1年を無駄にしました
先生を責める話じゃありません。僕自身が、まったく同じことをやっていたからです。
ゴルフの話で恐縮ですが、50前に始めました。通販で初心者セットを買って、紹介されたコーチに教わって、練習場でバカスカ球を打って、コースに出る。そこまでは普通ですよね。結果は130でした。
そのあと、周りの人のアドバイスを聞いてスイングを変えたり、練習メニューをこなしたりしました。ところが、コースに出ると何ひとつ通用しません。クラブを思い切り振り回して、飛んだ距離が1メートル。あのときは本当にやめようと思いました。
教わって、そこから自分の解釈でやってみる。それを1年続けて、何も残らなかったんです。「1年目でどうにかなるわけないよ、3年頑張ろう」と慰められて、惨めになるばかりでした。
あとで振り返ると、失敗の中身ははっきりしています。教わったことを、自分の感覚で解釈し直していたんですよね。自分なりに、というのはそういう意味です。
なぜ「自分なり」に戻ってしまうのか
理由は、意欲でも能力でもありません。指図を受けたくないからです。
行動を制限される。手順を決められる。自分が思ったとおりの、いちばん楽なやり方を選べない。これは誰でも苦痛ですよね。僕もそうです。
ただ、ここを避けたまま結果だけが変わることはありません。自分を変えて、居心地のいい場所から出て、しんどい思いをしてでも挑む。それをしないと望んだ結果は出ない。残念ながら、分かりきったことなんです。
そうなんです。「自分なりにやります」という言葉は、いまのやり方を変えないという宣言だと分かります。先生にそのつもりがなくても、そういう意味になってしまいます。
そしてもうひとつ。いま院で困っておられることは、たいてい手をつけずに置いてきた結果です。だとすると、自分なりに戻るというのは、また手をつけない側に戻るということでもあります。同じやり方を続ければ、同じ結果が出ます。
一度うまくいった先生ほど、何で伸びたのかを知りません
うまくいった経験がある先生も、実は同じところで止まります。
開業して数年で患者さんが増えて、そのあと横ばい。この状態から復活しようとするとき、やはり「もう一度、自分の力でやってみます」とおっしゃる。
ここに落とし穴があります。あのとき伸びたのは、先生の実力ではありません。まだ意欲に燃えて頑張る素直な若さがあった。その地域にまだ同業態が少なかった。時代の流れが合っていた。紹介してくれる患者さんがたまたま集まった。目に見えない後押しが働いていたことが結構あるんです。
ところが、ご本人にその自覚が薄い。だから、あのときと同じことをやれば戻るはずだと考えます。当然ですよね、前はそれで伸びたんですから。でも何年か経ったあとに同じ手を打っても、後押しはもう働いていません。
何が原因でうまくいったのかが分かっていないと、努力の置きどころも分かりません。それで「あれだけ頑張っているのに変わらない」という状態になります。
一人で決めない時間を、先に予定へ入れる
では、何をすればいいのか。
僕がゴルフで抜け出せたのは、練習量を増やしたからではありません。自分の感覚で判断するのをやめたからです。自分の感覚は、これまでの延長にしか行きません。そりゃそうですよね、感覚はこれまでの経験でできているわけですから。
先生の場合、それを一人でやろうとしないでください。院の中にいると、判断の材料が自分の感覚しかありません。言い換えると、感覚はこれまでの延長にしか行きません。
具体的には、決める日を先に予定へ入れてしまうことです。相談する日、見てもらう日、報告する日。日付を先に押さえておくと、それ以外の日の頭がずいぶん軽くなります。予定が空いたままだと、いつまでも「そのうち自分でやります」のままになります。
あなたが「自分なりにやってみます」と言いそうになったら、その前に電話相談を入れてください。何をどう変えるかは、そこで一緒に決めます。月例のワークでも、この話は続けています。ひとりで抱えたまま、次の半年を同じやり方で過ごさないでください。

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