治療院経営の学びは、なぜ教育者にも通じたのか?〜主体者研修会で講師を務めた報告〜
教育関係者が集まる研修会で、治療院経営を題材に90分の講師を務めました。
結論から言うと、治療院経営の学びが教育にも通じたのは、どちらも「人を育て、自身も成長できる仕事」だからです。
そして人が育つ鍵は、失敗を「次にうまくいくためのデータ」に変える主体性にあると考えています。
この記事では、当日の内容と資料作成の工程、そこから得た気づきを報告します。
失敗を「成長のデータ」に変える人と、嫌な体験で終わる人の違いはどこにあるのか?
こんにちは、治療院経営ラボ代表の作尾大介です。
先日、フォーティートゥ(主体者研修会)という研修会で、講師を務めさせていただきました。

参加されたのは、学校の先生や元教員の方、大学院で教育を研究されている方々です。
フォーティートゥと聞いても、何の団体か分からない先生がほとんどだと考えます。
フォーティートゥは、社会人としての主体性を学び合う研修会です。
主体性とは、言われたことをそのままやるのではなく、言われた以上のことを自分で考えて動く力のことです。
つまり、自身の行動や決断に責任を持つこととも言えます。
きっかけは、私が中学時代にお世話になった恩師でした。恩師が世話役を務めるこの研修会で、「ブログに書いている経営の話を、教育の視点で話してほしい」と依頼をいただいたのです。
治療家の私が、教育のプロの前で話す。畑違いに思えますが、テーマは共通していました。「人間的成長なくして、技術的進歩なし」です。
治療家の私が、教育者に何を話したのか?
90分の講演では、自分の人生の振り返りを縦軸に、経営の話と社会貢献活動の話をしました。
その中心に置いたのが、私が治療家を指導するときにいつも伝えている考え方です。

それは松村正隆理事より教わった「治療院経営を伝える時は、学校の授業だと思って教える」というものです。
- 治療技術の習得は、体育
- 売上・経費・リピート率の計算は、算数(そろばん)
- ブログ・広告・業務マニュアルの作成は、国語
- 補助金・助成金の活用は、社会
- 生理学や医療機器の研究は、理科
- そして、すべての根本にあるのが道徳。つまり人間性です
読み書き・そろばん・人間性。そこに技術が備わって、はじめて治療院経営は安定すると私は考えています。
教育者のみなさんには、こうお伝えしました。
「みなさんが教えていただいた結果、卒業して30年経っても、こうして現場で生きています」と。
あわせて、以前のブログにも書いた「子供な対応と大人な対応」の話もしました。
「私が患者さんを治している」と勘違いし、患者さんもスタッフも離れていった、私自身の失敗談です。
資料作りで、一番苦労したことは何か?

今回の資料は、これまでの講師として活動してきた資料を棚卸しするところから作りました。
人間性、問診、CSR活動(社会貢献活動)など、過去の講義資料から使える部分を洗い出し、教育者向けに組み直していきました。
工程として一番時間がかかったのは、理論の整理ではありません。自分の失敗を言葉にすることでした。
患者さんが離れていった一言。
スタッフに偉そうに接していた過去。
病院の下積み時代に「柔道整復師はマッサージしかできへんのやろ」と言われた悔しさ。
思い出したくない体験を掘り起こし、人前で話せる形に整える作業は、正直に言えば苦しいものでした。
でも、日頃の資料作成と振り返りの蓄積が、そのまま講演の土台になりました。積み上げは、裏切らないと実感した出来事でした。
失敗が「データ」になる人と、「嫌な体験」で終わる人の違いは?
講師を終えて、あらためて感じたことがあります。
私は社会人になってから、たくさんの失敗をして、嫌な思いもしてきました。
それでも大怪我をせずに済んだのは、失敗を「次にうまくいくための情報」として捉えられたからだと考えています。
失敗を嫌な体験で終わらせるのではなく、「次はどうやればうまくいくか」を考える材料にする。この捉え方ができたのは、治療家の道も、自費移行も、自分で選んだことだったからです。
もちろん、法律を破る失敗や、誰かに迷惑をかける失敗は論外です。しかし、小さな失敗をたくさんして修正を重ねることは、学びの途中にいる人にとって一番の近道だと考えています。
失敗をデータに変えられるかどうかの分かれ目は、主体性です。
自分で選び、自分の行動に責任を持ち、自分の人生の舵を自分で取るつもりで進む。
そうすれば、失敗は自分自身を育てる材料になります。
これは脳の仕組みからも説明できます。
脳の扁桃体(へんとうたい・情動を生み出す部位)は、出来事を「報酬」か「懲罰」かに結びつけて記憶します。人にやらされた失敗は懲罰として記憶されやすく、挑戦が怖くなります。
一方、自ら考えて決める行動を繰り返すと、前頭前野(ぜんとうぜんや・考える力や振り返る力を担う部位)が働き、失敗を検証する材料として扱えるようになります。
※興味のある方はこちらのページをご覧ください。
株式会社日立総合計画研究所:神経経済学より引用https://www.hitachi-hri.com/research/researchreport/short/k057.html
だからこそ私は、自分で選ぶこと、つまり主体性が成長の出発点だと考えています。
参加者の声
講演後のアンケートから、3名の方の感想を紹介します(ご本人のご意向を考え、イニシャルで掲載します)。
T先生(小学校教員)
今、自分が悩んでいたところに、ピンポイントで刺さるような、とても勉強になる講演でした。その中でも、特に印象に残ったのは、「大人」になることの重要さです。
僕は、学級経営や、同僚とうまくいかなかったとき、思えば、自分のことばかり考えていたと思います。そうではなく、「大人」として、例えば、どうすれば目の前にいる子どもたちが学校を楽しめるか、どうすれば同僚が自分と働いて快適に過ごせるかをまずは考えていきたいと思います。そして、それを達成するために、自分は何がまだ「子供」なのか考え、改善していきたいと思います。
K先生(大学院で教育学を研究)
大学院の指導教員がよく口にする言葉に「安心感のないところに真の学びは生まれない」というものがあります。感覚としてその通りだなと納得していましたが、本日のお話の中で医学的?生物学的?に恐怖に縛られていると、人は学べないという根拠を知ることができ、理解が深まりました。(中略)全体のお話を通して、サービスは与えるものだけではないということも考えました。人を育てるとは、教わること、育てられることであるというお話もあったように、受け取ることも含まれているのだと気づく機会になりました。
Y先生(小学校教員)
治療者・整骨院経営者と教師(教育)との共通点が多く、とても学びが多かったです。教えたり、説明したりする前に聞くことの大切さ。安心して身をゆだねられる「場」をつくることの大切さ。目の前の子ども達に興味を持ち続けることの大切さ。主導権をとるけど、支配ではない。など、あらためて気を付けていこうと思いました。学び続けると人は伸び続ける。自分が苦手なことを見付けて、認めて成長していきたいと思いました。
他にもたくさんの方から声を頂戴しましたが、割愛させていただきます。治療家の私の話が、教育の現場で日々子どもと向き合う先生方に届いたことを、何よりうれしく感じています。
まとめ:療養費改定の年に、何を学び直すか?
令和8年7月には療養費の改定があり、保険診療を取り巻く環境は一段と厳しくなっています。
こうした環境の変化を、嫌な出来事として受け止めるか。それとも、自分の治療院を見直す「データ」として受け止めるか。ここでも問われているのは、私たち治療家の主体性だと考えています。
偉そうに書きましたが、私自身も学び直しの途中です。
中学時代の私は、いい加減で調子乗りの生徒でした。そんな私でも、失敗を重ね、修正を重ねることで、教育者の前で話をさせていただけるところまで来られました。
きっと私の中学の同級生は「私が教育者の前でプレゼンをした」と言っても信じてもらえないかと思います。笑
でも、学び続ける限り、脳は何歳からでも育ちます。
そして、人は正しく教育を受け、良き指導者と出会い、素直に学び続けることで成長していけると信じています。
だからこそ、このブログをご覧の先生と一緒に、私も学びを継続していきたいと考えています。
「保険診療の先行きが不安」
「自費移行に踏み出せない」
「学び直したいが、何から始めればいいか分からない」
そんな時には、治療院経営ラボのサポートがきっとお役に立てると考えています。
もし、治療院経営ラボに興味のある先生はこちらからお問い合わせください。
最後までブログをご覧いただき、ありがとうございました。
先生の治療技術と患者さんの期待が相乗効果を生み出し、多くの患者さんに愛される治療院となることを心から願っています。
(監修:治療院経営ラボ 代表 柔道整復師・鍼灸師 作尾大介)

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